2007 年にがん対策基本法が施行されるまでには、海外で標準的に用いられている治療薬を日本で承認してほしいと求める、多くのがん患者の声がありました。厚生労働省も、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査官増員や、「医療上の必要性の高い未承認薬適応外薬検討会議」による取り組みなどを行ってきましたが、海外で治療に用いられている治療薬が日本で承認または適応拡大されるまでには、未だに大きな時間差(ドラッグ・ラグ)があるのが実情です。
私たちがん患者団体有志一同は、これまでも厚生労働省やその審議会などに対して、ドラッグ・ラグの解消を求める要望を続けてまいりました。2012 年度より施行される国の次期がん対策推進基本計画(以下、基本計画)の策定に関しても、「がん対策推進協議会」の患者委員から、ドラッグ・ラグの解消を次期基本計画の柱にするよう要望がだされました。しかし、2011 年 12 月 12 日に開催された、第 29 回がん対策推進協議会において事務局より提示された骨子案は、基本計画の柱になるどころか、要望からは大きくかけ離れた内容になっています。
基本計画は今後 5 年にわたる日本のがん対策全般のあり方を定めるものであり、厚生労働大臣が内閣に提出して閣議決定する大切な計画です。これまで 10 年以上にわたり多くのがん患者が、時には命を削りながらドラッグ・ラグの解消を訴えてきましたが、このような基本計画では、今後もがん患者がドラッグ・ラグで苦しみ続けることになるという危惧を、私たちは強くしております。ドラッグ・ラグの解消、特に適応外薬のドラッグ・ラグの解消に向け、以下の制度改正等を強く求めます。