喫煙は、がん、呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患、歯周疾患などの様々な疾病や健康障害の原因となっており、受動喫煙は、肺がんや呼吸器疾患、虚血性心疾患などの発症リスクを高めていることが明らかとなっています。
がんの死亡率の低下には、たばこ対策の推進は欠くことのできない施策の一つであり、平成 17年に発効した「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(たばこ規制枠組条約、WHOFramework Convention on Tobacco Control:FCTC)では、「たばこの需要を減少させるための価格及び課税に関する措置」(第 6 条)、「たばこの需要を減少させるための価格に関する措置以外の措置」(第 7 条)、「たばこの煙にさらされることからの保護」(第 8 条)などが、日本を含む締約国に求められています。
平成 19 年に施行された国のがん対策推進基本計画では、喫煙率の減少に関する目標設定を求める意見が、厚生労働省がん対策推進協議会において全会一致で認められたにもかかわらず、わずかに「未成年者の喫煙率を 3 年以内に 0%とすること」と記されたのみであり、平成 24 年より施行される次期がん対策推進基本計画では、成人の喫煙率減少に関する目標設定を含め、包括的なたばこ対策の推進が必要と考えられます。
我が国の喫煙率が先進国と比べて依然高い水準となっている中、国民の喫煙率の低減に向けて、たばこ規制枠組条約で締約国に求められている一連の措置が、次期がん対策推進基本計画において反映されますよう、ここに要望します。